借金の相続


「相続おじさん」さんこんにちは。今日は、相談があるのですが。
じつは先日父が亡くなりまして、その父に借金があったんです。私は父の借金を返す必要があるのでしょうか?ちなみに、父の相続人には、私のほかに、母、妹がいます。




なるほど、亡くなった親の借金を子供が返す必要があるのかどうかですよね。よくある質問なんです。この問題を親子間だけでなく、もっと一般化して話すために、「故人(被相続人)の借金を、相続人が返済する必要があるのか」という問題設定にしましょう。
まず、相続が開始すると、相続人はその時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継します(民法896条)。つまり、被相続人の借金返済義務も承継することになります。したがって、相続をすれば借金の返済義務を負うことになるんです。



やっぱり親の借金でも返す必要があるんですね。けっこうな額なんですよねぇ。まいりましたよ。



亡くなったお父上から相続した財産で、借金を完済されてはいかがでしょうか。



それがですね。父の借金がかなり多額なんですよ。はたして、父から相続した財産で借金の全部を返すことができるのかどうか・・・それでもやっぱり返す必要あるんですか?なんとかなりませんか?



なるほど、お父上の借金が財産よりも超過しているんですね。そういう場合は、相続の放棄という制度を利用できます。
相続を放棄すると、相続を放棄した者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなされます(民法939条)。そして、相続人ではない以上、被相続人の権利義務を承継しませんので、借金の返済義務も負いません。
つまり、あなたは、相続の放棄をすることによって、お父上の借金を返済する必要がなくなるのです。



え!!本当ですか!相続の放棄をすると、父の借金を返す必要がないんですね。それは助かります。
いや、まてよ。そういえば、父が生前に、不動産投資にはまっていたんですが、遺産のなかにいくつか不動産があったなぁ。その当時は、二束三文の安い土地だったんですが、なんか再開発かなんかで土地の値段が上がっていると聞いた気もするし・・・。相続放棄すると、借金ばかりでなく、全部の遺産を承継することができないんですよね。
うーん。ちょっと、相続する財産と借金のどちらが多いのか、はっきり分からないんですよ。全部ひっくるめて、相続の放棄をするのも躊躇します。




なるほど。そういった場合には、限定承認の制度を利用できます。
限定承認をすると、相続人は、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務を弁済する義務を負うことになります(民法922条)。
つまり、あなたは引き継いだ親の財産の限度で借金を払えばよくなります。とても合理的な制度なんですが、手続きが少し面倒なのがネックですね。実際に限定承認の制度を利用する人もあまりいないようです。
ちなみに、限定承認する場合は、あなたと、お母上と、妹さんと、共同相続人全員で裁判所に申し立てる必要がありますよ。



なるほど。まずは、正確に父の遺産の額と、父の借金の額を調査して確知した方がよさそうですね。
この調査はいつまでにすべきでしょうか?




相続人は、相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、その相続について単純承認、限定承認、相続の放棄をしなければなりません。
単純承認とは、限定承認も相続の放棄もせず、被相続人の一切の権利義務をすることをいいます(民法920条)。そして、相続人が、限定承認も相続の放棄もしなかった場合、単純承認をしたとみなされます(民法921条2号)。
したがって、あなたは、お父上がお亡くなりになったことを知った時から3か月以内に、遺産と財産の状態をお調べになり、相続するのか、相続の放棄をするのか、あるいは限定承認するのかを決める必要があるでしょう。

なお、これらの話をフローチャートにしてみました。ご参照ください。


本日はほんとうにありがとうございました。

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