父親が多額の借金を残して死亡した。わずかに残った父の貯金から葬式を行ったとしたら。相続放棄ができなくなる?
相続放棄をするには、「相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内」に手続きをしなくてはなりません(民法915条1項)。
そして、「相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき」には、相続人が単純承認したことになり、相続放棄ができなくなります(民法921条1項)。
そうすると、父親の貯金を使って葬儀を行った場合、「相続財産の処分」にあたり、単純承認したものとされます。したがって相続放棄ができないのが原則となります。
なんだか、すっきりしませんね。人間の当然の感情として、せめて父のお金で葬式くらいあげてもよさそうなもんです。実際にそのように、考えた裁判管もいたようで、裁判例では、被相続人のお金を葬儀費や墓石の購入費用にあてたことは単純承認とはならないとしたものもあるんです(大阪高裁平成一四年七月三日決定)。
この裁判例からすると、亡き父の貯金から身分相応な葬式をしても、相続放棄ができそうな気もします。
ただし、あくまでも最高裁の判例ではありませんから、必ずしもこのように認められるかどうかについては不確定であることに注意が必要でしょう。
