婚姻届を出していない夫婦のことを事実上の夫婦といったり、内縁の夫や妻といったりします。
かつては、一夫一婦制を潜脱する手段として、このようないわゆる事実婚が行われていましたが、最近では夫婦別姓の手段として利用されることが多いようです。

では、内縁の配偶者に相続権が認められるのでしょうか。
答えは、NOです。

婚姻は届出によって効力を生じます(民法739条)ので、届出のない以上、内縁の配偶者は法律上の配偶者ではありません。したがって、条文上は内縁の配偶者には相続権がありません。もっとも、近年は事実婚を尊重しようという社会情勢があり、内縁も準婚として取り扱われる場合もあることから、解釈上、内縁の配偶者にも相続権を認めるべしとの主張も有力です。しかしながら、このような主張を、判例は一貫して否定しています。その理由は、相続に関して利害関係を持つ者の取引の安全を図るため、相続人の範囲は戸籍によって形式的に明確にする必要性にあります。

したがって、内縁の妻や、内縁の夫に、財産を残したい場合には、遺言によって遺贈することになります。
この場合には、トラブルが生じやすいため、他の相続人の遺留分を害さないように遺贈し、公正証書遺言をする方がよいかと思われます。