息子に遺産を相続させたくない

推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者)は、相続放棄をしない限り、原則として遺産を相続します。そして、子は推定相続人ですから、法定相続分にしたがって当然遺産を相続するのが原則です。
 
しかし、何らかの理由で子に財産を相続させたくない場合には、つぎの方法をとることが出来ます。
 
1、財産を遺贈または死因贈与する
遺贈、死因贈与とは、ともにいわゆる贈与ですが、ここではこれらの内容について深く触れません。全財産を他人に贈与してしまえば、そもそも相続する財産が 無くなってしまいますので、子に遺産を相続させないようにできるのです。もっとも、あとでふれますが、この方法では「遺留分」の限度で子は相続財産を請求 できます。
 
2、遺言で相続分を指定する
子が複数いる場合や、子の他に配偶者などの相続人がいる場合、遺言で相続分の指定をすることができます(民法902条)。この方法で、遺産を相続させたく ない息子の相続分をゼロと指定するのです。しかし、この方法でも「遺留分」を害することはできませんから、子は遺留分を請求できることになります。
 
3、相続人を排除する
「排除」という制度は、被相続人の意思によって相続権を喪失させる制度です(民法892?893条)。つまり、遺産を相続させたくない息子の相続権を奪ってしまうのです。
この方法は、相続人の相続権を一方的に奪ってしまう強力なものですから、これが認められるには以下のような条件が必要です。
 
(1)推定相続人が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったとき
(2)家庭裁判所の審査
 
これら(1)(2)の要件が満たせば、完全に息子に遺産を相続させないようにできるのです。なお、「著しい非行」とは、すくなくとも被相続人の財産・精神などに対しある程度の害を及ぼすものである必要があり、単に犯罪を犯したという程度では認められません。
 
 
ちなみに、「欠格」という制度があり、相続人が被相続人を殺害したり、他の相続人を殺害したなど悪質な場合には、法律上当然に相続人となることができません(民法891条)。891条によると、つぎの5つの場合が欠格者になります。
 
・故意に被相続人または相続について先順位もしくは同順位にある者を死亡するに至らせ、または至らせようとしたために、刑に処せられた者。
・被相続人が殺害されたことを知って、これを告発せず、または告訴しなかった者。
・詐欺または強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、またはその取消・変更をすることを妨げた者。
・詐欺または強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、またはその取消・変更をさせた者。
・相続に関する被相続人の遺言を偽造・変造・破棄・隠匿した者。
 
 
※遺留分とは?
一定の相続人のために法律上必ず留保されなければならない遺産の一定割合のこと(民法1028条)。つまり、この遺留分については相続人の権利でもあり、反対に被相続人の義務でもあるから、必ず相続させる必要があるのです。

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