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相続と不動産登記の基礎知識

On 2011年4月10日, in 相続財産, by 管理者
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不動産の登記は原則として、前所有者(登記義務者)と後所有者(登記権利者)との共同申請となります(不動産登記法60条)。これは、登記によって不利益を受ける者をその登記の申請に関与させることによって登記の真正を担保することが理由です。

しかし、父の死亡による子の不動産相続のように、相続が原因で登記する場合は、例外的に相続人が単独で登記申請できます(不動産登記法63条2項)。この場合は、相続を証明する市区町村長等の公務員が職務上作成した情報及びその他の登記原因を証する情報を、登記申請時に提供する必要があります(不動産登記令(不動産登記令7条1項6号・別表22)。

相続を証する情報の代表的なものは被相続人及び相続人の戸籍謄本です。
この戸籍謄本には被相続人の死亡年月日、配偶者、子、直系尊属とうが記載されています。注意しなければならないのは、戸籍は変動しますので、被相続人死亡時の戸籍謄本だけでなく、15歳くらいから現在までの戸籍謄本を提供すべきことです。

相続人が複数いる場合、つまり共同相続となった場合には、次のような注意が必要です。

登記申請は自己の相続分についてのみすることができない(不動産登記先例)。
相続人は自分だけ不動産登記ができません。もっとも、相続人の1人は、他の共同相続人全員のために相続登記の申請ができますので、他の相続人が登記に協力してくれない場合は、自分だけで相続による全員の不動産登記ができます。

遺産分割等により不動産を単独相続した場合はそのことを証明する情報を供する必要がある。
たとえば、遺産分割がなされたときは、相続その他の登記原因を証する情報として、遺産分割協議がなされたことを証する情報、つまり遺産分割協議書などを提出する必要があります。
 
 
相続による不動産登記の登録免許税(法務局へ納税するもの)は、不動産価格(課税標準)に1000分の4を乗じた額となります(登録免許税法別表第1.1(2)イ)。たとえば不動産価格が1000万円なら4万円が登録免許税となります。

登記を司法書士に依頼する場合には、司法書士の報酬が必要となります。この価格は各司法書士によってピンキリですが、一般的な報酬額を示すと、不動産価格1000万円の相続登記の場合、約3万円~5万円(別途立会い費用、遺産分割協議書作成費用等が必要)くらいでしょうか。 
 
 
不動産の登記に関しては、近年、法務局のサービスが行き届いています。登記窓口のそばに退官した登記官等がボランティアで登記相談所を設けていたりと素人でも登記申請ができるようにわかりやすく案内されてます。不明な点は法務局で聞いてみるといいと思います。
とはいえ金銭的に余裕があれば司法書士に相談・依頼するのが安心だと思います。関係者の戸籍謄本の収集、遺産分割協議書の作成等だけであれば、行政書士に相談・依頼するのが最もリーズナブルでしょう。

 

内縁の配偶者と相続

On 2011年3月30日, in 相続人, by 管理者
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婚姻届を出していない夫婦のことを事実上の夫婦といったり、内縁の夫や妻といったりします。
かつては、一夫一婦制を潜脱する手段として、このようないわゆる事実婚が行われていましたが、最近では夫婦別姓の手段として利用されることが多いようです。

では、内縁の配偶者に相続権が認められるのでしょうか。
答えは、NOです。

婚姻は届出によって効力を生じます(民法739条)ので、届出のない以上、内縁の配偶者は法律上の配偶者ではありません。したがって、条文上は内縁の配偶者には相続権がありません。もっとも、近年は事実婚を尊重しようという社会情勢があり、内縁も準婚として取り扱われる場合もあることから、解釈上、内縁の配偶者にも相続権を認めるべしとの主張も有力です。しかしながら、このような主張を、判例は一貫して否定しています。その理由は、相続に関して利害関係を持つ者の取引の安全を図るため、相続人の範囲は戸籍によって形式的に明確にする必要性にあります。

したがって、内縁の妻や、内縁の夫に、財産を残したい場合には、遺言によって遺贈することになります。
この場合には、トラブルが生じやすいため、他の相続人の遺留分を害さないように遺贈し、公正証書遺言をする方がよいかと思われます。

 

大震災や戦争・紛争地において、家族の生死不明が長期にわたる場合があります。

もちろん、親族としては、生きていることを信じて、いつまでも待っているのが当然だろうと思われます。

しかし、現実問題として、残された者に不都合が生じるおそれがあるのも事実です。たとえば、生死不明の父の財産につき、相続が開始しない限り、原則として子には処分権限がありません。

そこで、このような場合、失踪宣告の制度を利用することができます。
 

失踪宣告とは、不在者の生死が不明の状態が一定期間継続した場合、利害関係人の請求により、家庭裁判所がする「失踪の宣告」(民法30条)のことです。この失踪の宣告を受けた者は、法律上、死亡したものとみなされます(民法31条)。
したがって、これにより、法律上、生死不明者が死亡した者と扱われるため、その者の財産につき相続が開始することとなるのです。
 
 
この失踪宣告には、普通失踪と特別失踪の2種類があります。
普通失踪は、不在者が7年間明らかでないときに請求することができ、失踪宣告がなされると、生存の証明がされた最後の時から7年後に死亡したとみなされます。
特別失踪は、「戦地に臨んだ者、沈没した船舶の中に在った者その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者」が、それら危難が去った後1年間生死不明の場合に請求することができ、失踪宣告がなされると、その危難が去った時に死亡したものとみなされます。

もちろん、失踪宣告は、あくまでも法律上、死亡が擬制されるだけですから、不在者の生存が確認されれば、本人または利害関係人は、家庭裁判所に失踪宣告の取り消しを請求することができます(民法32条1項)。
なお、不在者の生存が確認されただけでは、ただちに失踪宣告が失効するのではなく、家庭裁判所による取消しが必要である点にはご注意ください。

 

遺言書を見つけたときには

On 2011年3月7日, in 遺言, by 管理者
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もし相続人であるあなたが、故人の遺言書を発見したときには、これを遅滞なく裁判所に提出する必要があります。この遺言書が封印のあるものなら、勝手に開封することもできません(民法1004条1項、3項)。
この提出を怠ると、5万円以下の過料に処されます(民法1005条)。

遺言書が提出されると、裁判所では検認という手続きがなされます(民法1004条1項)。
検認とは、遺言書の保存を確実にして、相続人らによる変造や隠匿を防ぐためのもので、一種の証拠保全手続きのようなものです。つまり、遺言書の有効性そのものを判定するものではありません。したがって、遺言書の有効性について争うには、別途、遺言書の無効確認訴訟を提起することになります。

なお、遺言書が公正証書遺言であった場合には、検認手続きは不要です。原本が公証役場に保管されている以上、偽造、変造のおそれがないためです。

検認手続きの管轄裁判所は、相続開始地の家庭裁判所となります(家審規120条1項)。この相続開始の場所とは被相続人の最後の住所地のことをいいます(民法883条)。
したがって、発見した遺言書は、故人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ提出することになります。

以上のように、遺言書を見つけたら、まずは裁判所に提出することを忘れないでください。とくに、封印されていると、何が書いてあるのか気になってしまいますが、絶対にこっそり開けたりしないようにご注意ください。

 

指定相続人の死亡と遺言の効力

On 2011年2月22日, in 相続人, 遺言, by 管理者
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平成23年02月22日になかなか興味深い最高裁判所判決が出ました。

事案はこうです。

母親が遺言で、子2人のうち長男に「全財産を相続させる」旨の指定をしていたところ、母親よりもこの長男が先に死亡してしまった。そこで、この長男の子ら(孫)が、遺言により「全財産の相続」を代襲相続すると主張していた。
これに対し、長男のきょうだい(長女)が原告となり、長男の子らに法定相続分の権利の確認を求めていたというものです。
なお、母の夫はすでに亡くなっていませんでした。

争点としては、母の相続人指定の遺言の効力は、長男に対する関係に限るのか、長男の系統の卑属(子や孫)に対する関係にまで生ずるのかです。

最高裁判例は次のように判断しました。

「遺言は通常、相続人になるべき相手との関わりなどを考慮して行われる」ことを前提として確認し、つづいて、「遺言者が代襲者等に遺産を相続させる旨の意思を有していたとみるべき特段の事情のない限り,その効力を生じない」としています。

つまり、本件では、長男のきょうだい(長女)の法定相続分が確認されることとなったのです。
 
 
ちなみに、仮に本件遺言が、代襲者との関係でも効力を有するものであるとしても、長男のきょうだい(長女)は、遺留分の限りでは、遺産の相続を主張できる点には注意してください。
 
 
◆関連判例
平成23年02月22日 最高裁判所第三小法廷 判決 土地建物共有持分権確認請求事件
事件番号 平成21(受)1260

 

被相続人(故人)が亡くなると、被相続人名義の銀行口座は凍結され、相続人が自由に引き出すことができなくなります。

これは、一部相続人が勝手に自分の相続分以上の預金を引き出すといった相続人間のトラブルに、銀行が巻き込まれないように取り決めている実務上の措置です。

預金を引き出すには、共同相続人全員が共同して払い戻し請求をしなければなりません。
そのため、つぎの書類を提出するという手続きが必要となるのです。
 (1)分割協議書または共同相続人全員が捺印した同意書
 (2)共同相続人全員の印鑑証明書
 (3)共同相続人の戸籍謄本
 (4)被相続人(故人)の除籍謄本または戸籍謄本

また、金融機関によりその他の書類が必要な場合もあるので注意してください。
 
 
ところで、相続の開始からその分割まで、遺産は共同相続人の共有に属するとされています(判例は一貫してそう解している)。債権は物権でないので、準共有です(民法264条)。
そして、債権については、特別法たる多数当事者の債権の問題(民法264条ただし書き、427条以下)となり、可分債権の場合には民法427条により、その債権は法律上当然に分割され、各共同相続人が相続分に応じてこれを承継するとされています(最判平16・4・20判時1859号61頁、最判昭29・4・8民集8巻4号819頁)。つまり、遺産分割の対象ではない。
そうすると、預金債権(口座の残高)も金銭債権という可分債権である以上、各相続人が1人で自分に帰属する分の預金払い戻しを請求できるはずですね。

そうなんです。判例の考えと、銀行実務とは異なるのです。
したがって、裁判になれば、先ほどの銀行実務の手続きを経ずに、各相続人が個別に請求した預金払い戻しが認められる可能性があります。実際、多くの裁判例でもそのように認められています。
もっとも、銀行相手に訴えを起こすのは大変なので、よっぽど相続人間で遺産問題がこじれていない限り、遺産分割協議書や同意書を作成して、銀行実務の手続きにしたがって請求した方がよいのではないでしょうか。

 

限定承認

On 2011年2月16日, in 相続人, by 管理者
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亡くなった親に借金があった場合、引き継ぐ財産が多ければ、相続の単純承認をし、引き継いだ財産から借金を払うことになると思います。
引き継ぐ財産が少なく、借金が超過していた場合には、相続を放棄すれば、親の借金を背負うことはありません。

では、親の財産と借金の総額が相当あり、結局プラスになるのかマイナスになるのかが不明確な場合、どうすればよいか。
この場合には、限定承認の制度があります。

限定承認の制度(民法922条~937条)は、引き継いだ親の財産の限度で借金を払えばよいという、たいへん合理的な制度です。

もっとも、限定承認も相続の承認のひとつなので、親の借金の全部を承認することにはなります。ただ、弁済する責任が相続によって得た財産の限度に限定されるのです。
これはどういうことかというと、限定承認をした相続人が自分の財産から任意に親の借金を弁済したら、この弁済は非債弁済となるのではなく、有効な弁済となってしまい、取り返すことはできなくなってしまいます。

さて、このように一見よいことばかりのように見える限定承認ですが、利用者はあまりいません。
その理由は、手続きがとても面倒だからです。以下に、簡単な手続きの流れを記しましょう。

【限定承認の手続きの流れ】

(1)被相続人が死亡して相続が開始したことを知ったときから、3か月以内に、財産目録を作成して、家庭裁判所に限定承認申述書を提出する(民法924条)。
(2)相続人が複数ある場合には、相続人が全員で共同して限定承認する必要がある(民法923条)。
(3)限定承認から5日以内に一切の債権者に対して限定承認した旨、2か月をくだらない期間を定めてその期間内に債権者の申し出がないときは清算から排除する旨を付記して、債権の申出を促す公告をする。同時に、知れている債権者に対しては、個別に債権の申出を促す催告をする(927条)。

そして、これらの手続きを経て、相続財産は相続人の固有財産とは分別・管理され、清算が行われることになります。

いかがでしょうか。たしかに面倒ですね。
明らかに、親の借金が超過の場合には、相続放棄をした方が手っ取り早いかもしれません。

 

相続税の増税

On 2011年2月16日, in 相続税, by 管理者
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昨年12月に政府から平成23年度の税制改正大綱が公表されました。
 
 http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/syuzei04.htm
 

この中で、相続税の増税があきらかになっています。基礎控除額が引き下げられ、税率も一部引き上げられているのです。

これまで、基礎控除額は「5,000万円 + 1,000万円 × 法定相続人の数」でしたが、改正後は「3,000万円 + 600万円 × 相続人の数」に変更され、現在よりも控除額が4割減ることになります。
また、税率についても、最高税率を現在の50%から55%に引き上げられることになっています。

平成23年度の税制改正大綱にはこうも書かれてありました。

「相続税は、亡くなられた方の数に対する課税件数の割合が4パーセント程度に低下しており、最高税率の引下げを含む税率構造の緩和も行われてきた結果、相続税の再分配機能が低下しています。」

現行制度では相続税の対象になった人は4%ですが、今度の増税案によれば7%程度まで対象者が増えると予想されているようです。政府与党にとっては、おいしい財源といえますね。

税制の改正(改悪ともいえますが)の手続きは、税制調査会が発足し、この審議に基づき税制改正大綱が発表され、税制改正案が国会で審議されます。
つまり、上記の相続税増税案は、残すところ国会決議のみという段階なんですね。

今後の国会審議は要注目ですよ。

 

相続税の基礎知識

On 2011年2月15日, in 相続税, by 管理者
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相続税について、わかりやすくするため概略のみ述べたいと思います。

(1) (a)正味の遺産額から、(b)基礎控除額を引いて、(c)課税遺産の総額を出す。
(2) (c)課税遺産の総額につき定相続分に従って取得したものとして、(d)各人の算出税額を計算する。
(3) (e)各人の算出税額を合計して、(f)相続税の総額を出す。
(6) (f)相続税の総額から、各相続人が実際に相続した額に応じて案分した額が(g)各人が納付する税額となる。

【解説】
いちばん肝となるのは、実際に各人が相続した額から(f)相続税の総額が決まるのではなく、法定相続分の割合で相続したこととして計算することで(f)相続税の総額が決まるという点でしょう(相続税法16条)。もちろん、(g)各人が納付する税額は、実際に各人が相続した額により案分されます(相続税法17条)。

(a)正味の遺産額とは、非課税財産や債務、埋葬費用、3年以内に贈与された財産などを加減して得られた額です。詳細は別の記事にて解説します。
(b)基礎控除額は、「5,000万円 + 1,000万円 × 法定相続人の数」となっています(相続税法15条第1項)。
(d) 各人の算出税額の算出においては、下記の表を参考にしてください(相続税法16条)。

【具体例】
・甲氏死亡(被相続人)
・相続人として、妻(配偶者)、子が2人
・遺産の総額(正味の遺産額とする)が1億円
・妻4000万円、子がそれぞれ3000万円で遺産分割した

1億円 - 基礎控除額(5000万円+1000万円×3人) = 2000万円(課税遺産)

2000万円 × 1/2(妻の法定相続分) = 1000万円 → 10% = 100万円
2000万円 × 1/4(子の法定相続分) = 500万円 → 10% =50万円
よって、相続税の総額は200万円(100+50+50)

妻の納税額
200万円 × 4/10(4000万円/1億円) = 80万円
子の納税額
200万円 × 3/10(3000万円/1億円) = 60万円

ただし、妻については、配偶者の税額の軽減という制度があります(相続税法19条の2第1項)。実際に取得した正味の遺産額が、次の金額のどちらか多い金額までは配偶者に相続税はかからないという制度です。
(1) 1億6千万円
(2) 配偶者の法定相続分相当額

したがって、本件の場合、妻の納税額はゼロとなります。

いかがでしょうか。ざっと概略のみ書いてみましたが、細かい点については、また別の記事にて補足していきたいと思います。

 

答えはYESであり、またNOでもあります。

YESの理由は、子が親を相続すると(単純承認)、親の有した一切の権利義務を承継するからです(民法896、920条)。つまり、権利たる土地などの所有権とともに、借金などの金銭返済義務も承継するのです。だから、この場合は親の借金を返さなくてはいけません。

しかし、これでは子供がかわいそうですね。自分のあずかり知らないところで親が多額の借金をして、それの返済義務を負わされるのはあまりに不当です。したがって、この借金返済義務を逃れる道があります。これがNOの理由です。義務を逃れるには、ふたつの方法があります。

まずひとつめは、相続放棄(民法938条)です。
民法にはこう書いてあります、「相続の放棄をしたものは、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。」。
したがって、初めから相続人ではないのだから、当然に借金の返済義務も承継しません。もっともこの方法では、親に借金のほかに多くの土地などの財産が残っ ていたとしても、これらもすべて相続できませんので、「相続財産 – 借金 =」がプラスであったとしたら、損になりますね。

そこで、もうひとつの方法として、限定承認(民法922条)の制度があります。
「相続人は、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して、相続の承認をすることができる」と民法922条 に書いてあります。「相続財産 – 借金 =」がマイナスであっても、マイナス分を相続人たる子が返済する義務がなく、「相続財産 – 借金 =」がプラスであれば、そのプラス分を相続することができるという、たいへん合理的な制度です。こうしてみると、限定承認がいちばんよさそうにも思えます が、手続きがたいへん面倒であるというデメリットがあります。

限定承認図

なお、単純承認、相続放棄、限定承認の選択は、相続人が、自己のために相続があったことを知ったときから3か月以内に行なう必要があり(民法915条1項)、その期間内に相続放棄も限定承認もしなければ、単純承認されたとみなされます(民法921条2項)。
この3か月を熟慮期間といい、通常は「相続が開始したこと」と「自己が相続人となったこと」を知ったときが起算点とされます。

しかし、これでだけでは、被 相続人たる親に隠し借金があった場合、相続人たる子は、「借金があることを知っていれば放棄したのに、知らなかったため放棄しなかった」のにもかかわらず 借金を背負うことになり、かわいそうですね。そこで、最高裁判判例は、「相続人が相続財産(消極的財産=借金を含む)は全く無いものと信じたために熟慮期 間を徒過しても、そのように信じたことに相当の理由があれば例外的に、相続人が相続財産の全部又は一部の存在を認識した時又は通常これを認識しうべき時か ら起算される」と救済措置をとっています。

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