不動産の登記は原則として、前所有者(登記義務者)と後所有者(登記権利者)との共同申請となります(不動産登記法60条)。これは、登記によって不利益を受ける者をその登記の申請に関与させることによって登記の真正を担保することが理由です。
しかし、父の死亡による子の不動産相続のように、相続が原因で登記する場合は、例外的に相続人が単独で登記申請できます(不動産登記法63条2項)。この場合は、相続を証明する市区町村長等の公務員が職務上作成した情報及びその他の登記原因を証する情報を、登記申請時に提供する必要があります(不動産登記令(不動産登記令7条1項6号・別表22)。
相続を証する情報の代表的なものは被相続人及び相続人の戸籍謄本です。
この戸籍謄本には被相続人の死亡年月日、配偶者、子、直系尊属とうが記載されています。注意しなければならないのは、戸籍は変動しますので、被相続人死亡時の戸籍謄本だけでなく、15歳くらいから現在までの戸籍謄本を提供すべきことです。
相続人が複数いる場合、つまり共同相続となった場合には、次のような注意が必要です。
登記申請は自己の相続分についてのみすることができない(不動産登記先例)。
相続人は自分だけ不動産登記ができません。もっとも、相続人の1人は、他の共同相続人全員のために相続登記の申請ができますので、他の相続人が登記に協力してくれない場合は、自分だけで相続による全員の不動産登記ができます。
遺産分割等により不動産を単独相続した場合はそのことを証明する情報を供する必要がある。
たとえば、遺産分割がなされたときは、相続その他の登記原因を証する情報として、遺産分割協議がなされたことを証する情報、つまり遺産分割協議書などを提出する必要があります。
相続による不動産登記の登録免許税(法務局へ納税するもの)は、不動産価格(課税標準)に1000分の4を乗じた額となります(登録免許税法別表第1.1(2)イ)。たとえば不動産価格が1000万円なら4万円が登録免許税となります。
登記を司法書士に依頼する場合には、司法書士の報酬が必要となります。この価格は各司法書士によってピンキリですが、一般的な報酬額を示すと、不動産価格1000万円の相続登記の場合、約3万円~5万円(別途立会い費用、遺産分割協議書作成費用等が必要)くらいでしょうか。
不動産の登記に関しては、近年、法務局のサービスが行き届いています。登記窓口のそばに退官した登記官等がボランティアで登記相談所を設けていたりと素人でも登記申請ができるようにわかりやすく案内されてます。不明な点は法務局で聞いてみるといいと思います。
とはいえ金銭的に余裕があれば司法書士に相談・依頼するのが安心だと思います。関係者の戸籍謄本の収集、遺産分割協議書の作成等だけであれば、行政書士に相談・依頼するのが最もリーズナブルでしょう。


