2008年2月アーカイブ

答えはYESであり、またNOでもあります。
 
YESの理由は、子が親を相続すると(単純承認)、親の有した一切の権利義務を承継するからです(民法896、920条)。つまり、権利たる土地などの所有権とともに、借金などの金銭返済義務も承継するのです。だから、この場合は親の借金を返さなくてはいけません。
 
しかし、これでは子供がかわいそうですね。自分のあずかり知らないところで親が多額の借金をして、それの返済義務を負わされるのはあまりに不当です。したがって、この借金返済義務を逃れる道があります。これがNOの理由です。義務を逃れるには、ふたつの方法があります。
 
まずひとつめは、相続放棄(民法938条)です。
民法にはこう書いてあります、「相続の放棄をしたものは、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。」。
したがって、初めから相続人ではないのだから、当然に借金の返済義務も承継しません。もっともこの方法では、親に借金のほかに多くの土地などの財産が残っ ていたとしても、これらもすべて相続できませんので、相続財産 - 借金 = がプラスであったとしたら、損になりますね。
 
そこで、もうひとつの方法として、限定承認(民法922条)の制度があります。
「相続人は、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して、相続の承認をすることができる」と民法922条 に書いてあります。相続財産 - 借金 = がマイナスであっても、マイナス分を相続人たる子が返済する義務がなく、相続財産 - 借金 = がプラスであれば、そのプラス分を相続することができるという、たいへん合理的な制度です。こうしてみると、限定承認がいちばんよさそうにも思えます が、手続きがたいへん面倒であるというデメリットがあります。

限定承認図

なお、単純承認、相続放棄、限定承認の選択は、相続人が、自己のために相続があったことを知ったときから3か月以内に行なう必要があり(民法915条1項)、その期間内に相続放棄も限定承認もしなければ、単純承認されたとみなされます(民法921条2項)。
この3か月を熟慮期間といい、通常は「相続が開始したこと」と「自己が相続人となったこと」を知ったときが起算点とされます。

しかし、これでだけでは、被 相続人たる親に隠し借金があった場合、相続人たる子は、「借金があることを知っていれば放棄したのに、知らなかったため放棄しなかった」のにもかかわらず 借金を背負うことになり、かわいそうですね。そこで、最高裁判判例は、「相続人が相続財産(消極的財産=借金を含む)は全く無いものと信じたために熟慮期 間を徒過しても、そのように信じたことに相当の理由があれば例外的に、相続人が相続財産の全部又は一部の存在を認識した時又は通常これを認識しうべき時か ら起算される」と救済措置をとっています。
遺留分とは、一定の相続人のために法律上必ず留保されなければならない遺産の一定割合(民法1028?1044条)のことをいいます。[有斐閣法律学小事典]
 
簡単にいうと、被相続人の意思では奪えない相続分です。
例えば、死亡したAさんには相続人として子供が二人(兄、妹)いたとします。生前からこの長男と折り合いが悪いため、Aさんは遺言で「財産全部を娘だけに 相続させる」との指定をしたとします。しかし、長男はこのような遺言にもかかわらず、まったく遺産ができなくなるのではなく、遺留分の限度で遺産の相続を 請求できるのです。
 
 
ところで、先日次のようなドラマを見ました。祖父が死に、孫の兄妹の二人が相続人となります。祖父は遺言を残しており、この遺言によると兄が遺産の相続人から外されていました。そこでこの兄は、祖父の遺言執行人たる顧問弁護士に、「少しくらい財産をもらえないのか?」と相談しますが、この弁護士は「遺言により、あなたは一切財産をもらえない」と断言します。これに怒り狂った兄は、唯一相続人となった妹を殺害しようと計画する・・・という内容です。
 
しかし、そんなわけないんです。少しくらいなら、つまり遺留分なら請求できるのです。ドラマの弁護士は遺留分のことを知ってか知らずかいっさい触れず、「遺言どおり、いっさい相続できない」と言っていますが・・・
 
 
さて、冒頭の定義をもう少し詳しく解説しましょう。
遺留分とは、「一定の相続人のために」、法律上必ず留保されなければならない「遺産の一定割合」のことでした。
 
まず、一定の相続人とは、「兄弟姉妹以外の相続人」(民法1028条)のことです。つまり、すべての相続人に遺留分があるのではなく、兄弟姉妹以外の相続人だけに遺留分があるのです。
 
つぎに、一定の割合ですが、民法にはつぎのように定められています
・直系尊属のみが相続人である場合 ⇒ 被相続人の財産の3分の1 (民法1028条1号)
・それ以外の場合 ⇒ 被相続人の財産の2分の1 (民法1028条2号)
 
これを先ほどのドラマの例にあてはめると、兄は被相続人の孫なので民法1028条2号の場合にあたり、死亡した祖父の財産のうち2分の1は遺留分となります。そしてその遺留分から、法定相続分(2分の1 民法900条4号)の相続を主張できます。
したがって、兄は、「妹(孫)に全部遺産を相続させる」との祖父の遺言にもかかわらず、祖父の遺産のうち4分の1は相続人として請求できることになります。
 
 
 
このように、遺産をあげたくないのに、遺産の一部を渡さざるを得ないという遺留分制度がある根拠としては、相続制度というものが被相続人の意思の尊重ばか りでなく、遺族の生活保障という相続人の側の利益も考慮されているからだといわれています。どうしても、遺産を残したくない場合は、相続人を排除する(民 法892?893条)しかありませんが、この方法も相続人の相続権を一方的に奪ってしまう強力なものですから、これが認められるには厳格な条件があるので す。
 
 
 
◆関連記事
息子に遺産を相続させたくない
被相続人(亡くなった人)を相続する相続人が複数人いる場合を、共同相続といいます。遺産(相続財産)はこの共同相続人間で分割して相続することになりま す。その場合のそれぞれの割合(相続分)は、遺言で決まっている場合もありますし、遺言がなければ遺産分割協議で決めることになります。
 
ところで、相続財産は、土地や貯金のような積極財産もあれば、借金や債務のような消極財産もあります。したがって、相続を放棄しない限り、借金や債務も相続することになり、そして、共同相続であればそれぞれの相続人が借金や債務を相続します。
 
 
それでは、借金を共同相続した場合、それぞれの相続人はどのような割合で借金を相続することになるのでしょうか?
100万円の借金がある父親が死亡して、兄と弟の二人がその借金を共同相続した場合の例でみてみましょう。
 
共同相続の場合の相続割合(相続分)は、遺言あるいは遺産分割協議で決まると冒頭で述べました。そうすると、借金も消極財産として相続財産である以上、遺 言あるいは遺産分割協議で自由に割合を決めることができるとも思えます。たとえば、遺産分割協議で兄が100万円の借金をすべて引き受ける(相続する)こ ともできそうです。
 
しかし、これを認めてしまうと、被相続人(亡くなった父)の債権者が害されるおそれが生じます。たとえば、被相続人の積極財産(土地や貯金)を弟がすべて 相続するにもかかわらず、遊び人で資産のまったくない兄が借金をすべて引き受けるとするならば、本来なら父親の財産で借金の返済を期待できたのに、被相続 人の債権者は借金の返済を受けることができなくなってしまいます。つまり、債権者の同意なしに債務者が勝手に債務を処分するに等しいのです。
 
そこで、借金などの債務については、共同相続の場合、法定相続分に従った債務を分割承継するとされています。先ほどの例でいうと、兄と弟は、それぞれ50 万円づつ(法定相続分2分の1、民法900条1項)の借金を相続します。これは、積極財産の相続分とは影響し合いません。
 
 
したがって、仮に、父親が死亡して兄と弟が共同相続した場合、兄が長兄として父の所有資産をすべて相続したとしても、弟は遺産放棄しない限り、借金だけは2分の1の割合で承継することになるので、注意が必要です。

相続分は法律で一応決まっています。たとえば、妻は2分の1、長男と次男はそれぞれ4分の1となっています(民法900条)。
 
もっとも、被相続人(ご本人)が、法定の割合とは異なる相続分を指定することもできます(民法902条本文)。
 
遺留分の制約がありますが、基本的に自由に決めることができます。「土地、家屋建物については妻にすべて相続させる」という感じです。
 
この相続分の指定(これを「指定相続分」といいます)はいつできるのか?
いつでもどのような方式でできるわけではなく、必ず「遺言」によってしなければなりません。
 
それはなぜか。生前に公然と相続分を指定することは、相続人間での紛争・トラブルの原因となりかねないからだとされています。

生前にどうしても、特定財産を希望の相続人に与えたい場合は、「贈与」するとよいでしょう。

「藁(わら)の上からの養子」とは、他人の子を実子として出生届けをして育てることをいいます。このようにすることによって、戸籍上は実子としての外観を備えることとなるため、養子であることを隠す方法として古くから行なわれてきたようです。
 
ちなみに、「藁」とは産褥(さんじょく:お産をする寝床)にしくワラから転じて産褥の意味で、産褥から出て子の生まれたことを世間に公表する前に、この子をもらい受けるということです。
 
 
このように他人の子を自己の嫡出子として出生届をすることは、虚偽の届出であり無効です。実子としての届出はもちろんのこと、養子としての届出としても無効なのです。つまり、この外観上は「実子」、実質は「養子」の親子は、法律的には他人であるというこになります。
 
 
ところで、「子」は相続人です(民法887条1項)。子には、実子(生理的な血のつながりがある子)と養子(法律上の子)があります。そうすると、「藁(わら)の上からの養子」は実子でも養子でもありませんから、相続人になれません。
 
ところが、「藁(わら)の上からの養子」が長年、実子と思って暮らしてきたらどうでしょうか。自分は実子であると信じていたところ、親が死んで相続をする段階になってはじめて他の親族から「親子関係はない(相続できない)」と申し立てられたら?
 
こんな事件が実際あり、最高裁判所第二小法廷(平成18年07月07日)で判決が下されました。判決の内容は簡略化するとこうです
 
・他の親族側の主張が権利の濫用にあたる可能性がある。
・権利濫用にあたるかどうか審理しなおすため高等裁判所に差し戻す。
 
権利濫用(民法1条3項)とは、主張する権利は外形上は正当な権利行使のように見えても、具体的実質的に見ると権利の社会性に反するような場合には、権利行使を認めないというものです。
 
本件では、たしかに、「藁(わら)の上からの養子」と被相続人との間には「親子関係はない」という主張は正当である。しかし、本件のように社会的事実とし て長年親子として暮らしてきたという実態を鑑みると、いまさらこの主張を認めることは著しく不当であるという判断だと思います。
 
なお、この判決では、(1)生活実態があった期間の長さ、(2)親子関係が否定されて本人らが受ける精神的苦痛・経済的不利益、(3)関係不存在を申し立てた側の経緯や動機、などを基準に権利の濫用にあたる場合か否かの判断をすべきとの一般的基準を示しています。
 
本件が差し戻された高等裁判所の審理でも、他の親族の主張が「権利の濫用にあたる」と判断されれば、本件「藁(わら)の上からの養子」は、本当は相続権が 無いのに、結果的に相続できることになります。ある意味、「無いのに有る」みたいな玉虫色な結論かもしれませんが、具体的妥当性を探っていくとどうしても 法律の原理原則だけでは対処できない場合があり、解釈の妙といったところでしょうか。
 
 
最後に、気をつけなければならないのは、あくまでも原則として「藁(わら)の上からの養子」には相続権がないということです。本件は例外的な場合といえるでしょう。
 
 
 
◆関連判例
・最高裁判例 平成18年07月07日 親子関係不存在確認請求事件
配偶者の連れ子には相続権がありません。なぜなら、配偶者の連れ子は、「被相続人の子」ではないからです。(民法887条1項)
 
もっとも、配偶者の連れ子と養子縁組すれば、法定血族関係が発生し、実子と同じ扱いになりますので(民法809条1項)、この場合は、「被相続人の子」ですから相続権を有することになります。
 
つまり、連れ子に相続人として遺産を相続させたいのなら養子縁組をする必要があり、相続させたくないのなら養子縁組をしないことです。
推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者)は、相続放棄をしない限り、原則として遺産を相続します。そして、子は推定相続人ですから、法定相続分にしたがって当然遺産を相続するのが原則です。
 
しかし、何らかの理由で子に財産を相続させたくない場合には、つぎの方法をとることが出来ます。
 
1、財産を遺贈または死因贈与する
遺贈、死因贈与とは、ともにいわゆる贈与ですが、ここではこれらの内容について深く触れません。全財産を他人に贈与してしまえば、そもそも相続する財産が 無くなってしまいますので、子に遺産を相続させないようにできるのです。もっとも、あとでふれますが、この方法では「遺留分」の限度で子は相続財産を請求 できます。
 
2、遺言で相続分を指定する
子が複数いる場合や、子の他に配偶者などの相続人がいる場合、遺言で相続分の指定をすることができます(民法902条)。この方法で、遺産を相続させたく ない息子の相続分をゼロと指定するのです。しかし、この方法でも「遺留分」を害することはできませんから、子は遺留分を請求できることになります。
 
3、相続人を排除する
「排除」という制度は、被相続人の意思によって相続権を喪失させる制度です(民法892?893条)。つまり、遺産を相続させたくない息子の相続権を奪ってしまうのです。
この方法は、相続人の相続権を一方的に奪ってしまう強力なものですから、これが認められるには以下のような条件が必要です。
 
(1)推定相続人が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったとき
(2)家庭裁判所の審査
 
これら(1)(2)の要件が満たせば、完全に息子に遺産を相続させないようにできるのです。なお、「著しい非行」とは、すくなくとも被相続人の財産・精神などに対しある程度の害を及ぼすものである必要があり、単に犯罪を犯したという程度では認められません。
 
 
ちなみに、「欠格」という制度があり、相続人が被相続人を殺害したり、他の相続人を殺害したなど悪質な場合には、法律上当然に相続人となることができません(民法891条)。891条によると、つぎの5つの場合が欠格者になります。
 
・故意に被相続人または相続について先順位もしくは同順位にある者を死亡するに至らせ、または至らせようとしたために、刑に処せられた者。
・被相続人が殺害されたことを知って、これを告発せず、または告訴しなかった者。
・詐欺または強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、またはその取消・変更をすることを妨げた者。
・詐欺または強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、またはその取消・変更をさせた者。
・相続に関する被相続人の遺言を偽造・変造・破棄・隠匿した者。
 
 
※遺留分とは?
一定の相続人のために法律上必ず留保されなければならない遺産の一定割合のこと(民法1028条)。つまり、この遺留分については相続人の権利でもあり、反対に被相続人の義務でもあるから、必ず相続させる必要があるのです。
相続人には、まず、配偶者が常になることができます(890条)。
 
さらに、この配偶者と同順位で、つぎの人が上から順になることが出来ます。この上から順というのは、先順位の人がいない場合に次順位の人に相続権が回って くることを意味し、例えば、先順位の人が相続放棄をしても、先順位の人が存在する以上、次順位の人には相続権は回ってきません。
 
1、子、またはその代襲者(民法887条)
2、直系尊属(889条1項)
3、兄弟姉妹、またはその代襲者(民法889条1項、2項)

 
 
ここで、子というのは、胎児も含まれます(民法886条)。
 
また、代襲者というのは、被相続人(亡くなった人)の死亡以前に、相続人となるべき人が死亡または排除・欠格となり相続権を失ったときに、その者に代わっ て相続人となる、その者の直系卑属のことをいいます。つまり、被相続人が死亡する1年前に、相続人となるはずであった被相続人の子がすでに死亡していた場 合、その相続人の子が相続するということです。被相続人からみれば、孫にあたる人が相続人となるということですね。
 
直系尊属というのは、父、母、祖父、祖母のことです。父、母など、被相続人により近い存続が相続することになります。
 
兄弟姉妹の代襲者ということは甥や姪です。
 
 
 
【具体例】
被相続人(死亡した人)には、妻、子供3人、父、母、妹がいた場合。
 ↓
妻と子供3人が相続人になる。
 
 
被相続人(死亡した人)には、妻、孫、父、母、妹がいた場合。
 ↓
妻と孫が相続人となる。
 
 
被相続人には、妻との間に子供はなく、父と母と妹がいた場合。
 ↓
妻と父・母が相続人になる。
 
 
被相続人には、妻との間に子供はなく、父・母も他界しており、妹がいた。
 ↓
妻と妹が相続人になる。
 
 
被相続人には、妻との間に子供はなく、父・母も他界しており、妹も死亡しており、妹には娘(姪)がいた場合。
 ↓
妻と姪が相続人になる。
【遺言の方式】
遺言の方式には、普通方式と特別方式があります。そして、普通方式には自筆証書遺言(民法968条)、公正証書遺言(民法969条)、秘密証書遺言(民法970条)があります。
 
【普通方式の遺言】
(1) 自筆証書遺言:
遺言者が、遺言の全文、日付、氏名のすべてを自筆して、これに押印する遺言。
 ※ワープロやパソコンを使うことはできません。あくまで自筆のみ。また、押印には三文判でもかまいません。
 
(2) 公正証書遺言:
2人以上の証人の立会いを得て、遺言者が公証人に遺言の趣旨を話し、公証人がこれを筆記して遺言者および証人に読み聞かせ、また閲覧させ、遺言者および証 人がこの筆記の正確なことを承認したとして各自署名押印し、公証人が方式にしたがって作成したことを付記して署名押印する遺言。
 
(3) 秘密証書遺言:
遺言者が、遺言者または第三者が書いた遺言書に署名押印し、その証書を封じて、証書に用いた印章で封印し、公証人1人および証人2人以上の前にこの封書を 提出し、自己の遺言である旨、また遺言書が第三者によって書かれているときは筆記者の氏名・住所を申述し、そして公証人が封紙に証書を提出した日付および 遺言者の申述を記載し、遺言者・証人・公証人がこの封紙に署名押印する遺言。
 
 
【特別方式の遺言】
普通方式遺言を利用できない、非日常的状況下におかれた人のための遺言方式。死亡危急時遺言、難船時遺言、伝染病隔離時遺言、在船時遺言の4種がある。
満15歳以上であれば完全に有効な遺言ができる(民法961条)。
 
つまり、老後にリタイアしてから書かなければならないものではない。
 
なお、遺言はいつでも遺言の方式にしたがって、全部または一部を自由に撤回できる(民法1022条)。
遺産を数人で相続した場合(共同相続)、相続人どうしで遺産分割協議を行うことになります。ここでうまく話がまとまればいいですが、そうはいかない場合もあります。
 
そこで、遺産分割でもめた場合(遺産分割協議の合意に至らなかった場合)、弁護士の先生に頼むことになりますが(※)、依頼料はいくらくらいかかるのでしょうか。
 
日本弁護士連合会の公式サイトによると、たとえば遺産が1億円あり、調停を利用して法定相続分5000万円を取得した場合の平均的報酬として、着手金30?50万円、報酬金額100?140万円となっています。
調停ではすまずに、本格的な訴訟になった場合には、別に弁護士報酬が発生することになります。この場合、着手金が請求額の3?8パーセント、成功報酬が取得額の5?10パーセントくらいでしょうか。
 
上記金額は、かなりアバウトな内容で、個別の事例や各弁護士事務所の報酬規定によっては、もう少し違った金額になると思います。まずは、弁護士の先生に相談されることがよろしいかと思います。
ちなみに、相談料は1時間1万円というのが平均的なようです。
 
 
 
※遺産分割協議がまとまらず紛争性が発生した場合の法律事務は、弁護士しかできないことになっています。(簡易裁判所レベルの調停、訴訟ならば、司法書士も利用できます。)

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相続と士業間の職分

遺産相続の問題解決ないし未然の問題発生防止のためには法律の知識が必要なため、できれば専門家に任せた方がよろしいかと思います。
 
たしかに相談料や依頼料などのお金がかかりますが、トラブルを長引かせるよりも、面倒なことはお金を払って他人に任せた方がスマートなやり方ではないで しょうか。ことに相続となりますと、近親者間のトラブルですので、下手をすれば泥沼の地獄絵図になりかねません。そういった意味でも、間に第三者が入った 方が、感情的にならずに客観的な処理がスムーズにできたりするのです。
 
ところで、相続の専門家といってもいろいろあります。いわゆる士業といわれる人たちに頼むわけですが、弁護士、司法書士、税理士、行政書士といったところが相続に関係すると思われます。
 
では、それぞれ、どういったときに、どの士業の先生に頼めば良いのでしょうか?
 
大まかな職分を述べますと以下のようになります。
 
 
◆弁護士
弁護士には紛争性のある相続事務を頼みます。法廷代理権があるのも弁護士だけです(司法書士は簡易裁判所に限って特例あり)。したがって、遺産相続がすで にもめごとになってしまっている場合や、裁判も辞さないというような場合には弁護士の先生に頼むことになります。しかしながら、弁護士の場合、飛び込みで 依頼を受けてくれるところは少なく、紹介状が必要なことがあります。どうしても知り合いの弁護士がいない場合は、弁護士会に相談するとよいでしょう。

◆司法書士
不動産登記は司法書士の仕事です。遺産の内容が不動産であったなら、司法書士に頼むことになります。不動産登記に絡めて相続の相談も受けてくれることに なっているようです。また、簡易裁判所での法廷代理権が特例で認められています。普通、親族どうしの裁判の場合は簡易裁判所での和解や仲裁ですみますの で、莫大な遺産相続でなければ司法書士の先生に頼むこともできます。
 
◆税理士
相続税などの税のことについては税理士へ。相続の法律事務一般というよりも、税に関する専門的な相談という感じです。もっとも相続税の相談の中で、多少一般的な法律上のアドバイスを受けることができる場合もあります。
 
◆行政書士
共同相続人間に争いがないような場合、遺産分割協議書を作成することによりトラブルを未然に防ぐことができます。このような 紛争性のない権利事項の文書作成・相談は行政書士の先生に頼みます。また、遺言書の作成に関するアドバイスを受けることもできます。もっともリーズナブルに利用できるメリットが魅力でしょう。
 
 
上記は大まかな分類ですが、それぞれ隣接分野ですので、頼む先生ごとに「できること」「できないこと」が多少違ってくるかと思われます。

【具体的な一例】
・遺産争いが起きている ⇒ 弁護士の先生へ
・土地や建物を遺産相続した ⇒ 司法書士の先生へ
・相続税を節税したい ⇒ 税理士の先生へ
・共同相続人間に争いがない ⇒ 行政書士の先生へ